まず法廷では裁判長の前で証人らが横一線に立ち、“良心に従って真実を述べる”旨を宣誓する。その際、文信氏は、証人として呼ばれた本誌記者を挟み、元組長と並んだ。すかさず元組長は文信氏をにらみつけると、

「おう、久しぶりやな。懐かしいのぉ」
「お前、よう来れたな」

などと声をかけた。ところが、文信氏は元組長に目もくれず無言を貫いた。そんな彼は、尋問で暴力団組員であったかを問われても、

「(元組長には)会ったことはありません」

と答え、自らの過去には一切口を噤(つぐ)んだのだ。だが、これに続いて証言台に立った元組長は、京都にあった家で文信氏と盃を交わすまでのいきさつから、組のベンツを運転させていたことや、「事始め」と称する新年会で毎回顔を合わせていたことなど、現役当時の具体的なエピソードを交えて証言したのである。

 民事裁判でも、証人が法廷での宣誓を破って偽りを述べれば「偽証罪」に問われる。そのリスクを承知の上で法廷に立った元組長の発言を重視した裁判所は、文信氏の隠された経歴を認めるに至ったわけだ。

野田氏は文信氏の過去について〈事実ではございません〉と明確に否定している。今回改めて、判決についての見解を問うたところ、「裁判中につき回答は控えます」(野田聖子事務所)と言うのみだった。

https://news.yahoo.co.jp/articles/a05996078a76412dc91787922a1aba15dbb494d7?page=2