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「これはマズイだろ……」
年の瀬も押し迫った昨年12月26日。あるNHKディレクターは、放送を見て絶句した。同僚たちも口々に「あれはヤバいね」と囁きあった。年が明け、1月9日。案の定、NHKは謝罪に追い込まれた。
 BS1スペシャル「河瀬直美が見つめた東京五輪」。東京五輪の公式記録映画監督を務める河瀬直美氏(52)にNHKが密着したドキュメンタリーだ。
番組中盤、冒頭のNHKディレクターならずとも目を疑う、不可解なシーンが流れた。カメラを持つのは河瀬氏の映画学校時代の教え子で、公式映画の撮影を手伝う映画監督の島田角栄氏。そのカメラの先には、
〈五輪反対デモに参加しているという男性〉
という字幕と共に現れたTシャツ姿の中年男性。NHK側クルーは、二人の会話を少し離れたところから撮影している。直後、
〈実はお金をもらって動員されていると打ち明けた〉

という、もし事実なら衝撃的な字幕が突如流されたのだ。
ところが、その後の島田氏の男性へのインタビューでは、そのような言葉はまったく語られない。
そのため、放送直後からSNS上などでも、「捏造ではないか」などと疑問視する声が上がりはじめた。

 今回NHKは、視聴者の指摘を受けて1月に再び男性に取材し、五輪反対デモ団体との金銭授受はおろか、「男性が五輪反対デモに参加していたかどうか」すら、男性の記憶が曖昧で確認できないとして、謝罪した。
事実上、字幕が捏造だったと認めたのだ。