文藝春秋はコミックを毎月約3点刊行

 次に2020年9月にコミック編集局がスタートした文藝春秋について取り上げよう。予想以上に順調に進んでいるようだ。飯窪成幸専務に聞いた。

「コミック編集局は局長を含めて7人が在籍しています。うち2人は電子書籍部と兼任です。コミック局がスタートした時はどのくらいの点数が出せるか不安でしたが、始まってみれば毎月3点前後刊行しており、順調です。

 柱の一つはまず文藝春秋で出している原作物のコミック化。『鬼平犯科帳』や『新選組血風録』などが出ています。

 2つ目は文春オンラインのデジタルコミック連載から生まれたコンテンツ。電子と紙両方ありますが、『僕が夫に出会うまで』や、異世界もので『俺、勇者じゃないですから』などがあります。前者は小社の原作物でもありますが、『俺、勇者じゃないですから』は発売してすぐに増刷がかかりました。紙より電子が売れるもの、電子より紙が売れるもの、紙も電子も売れるもの、とにかく今はトライアル・アンド・エラーを重ねチャレンジする時期だと思います。

 創業100周年を記念して、司馬遼太郎さんの『竜馬がゆく』、半藤一利さんの『日本のいちばん長い日』、山崎豊子さんの『大地の子』をコミック化することになっています。『竜馬がゆく』はまもなく『週刊文春』で連載が始まります」

 コミックについては今後も積極的に取り組む意向のようで、コミック編集経験者の中途採用を募集している。

 原作もののコミカライズを手がけていることもあって、コミック編集局の会議には他部署の編集者も参加するなどしているという。スタートして1年余で連載や単行本出版も含め、当初の予定以上の取り組みになっているようだ。


光文社、文藝春秋に続きマガジンハウスと、出版社が続々コミックに本格参入する理由
https://news.yahoo.co.jp/byline/shinodahiroyuki/20220115-00277545