アメリカやヨーロッパでモノの値段が上がるインフレが止まらなくなっている――。前編記事『じつは「家計」をますます苦しめる「脱炭素」の危ない現実』では、そんな物価上昇を引き起こしているのが、じつは世界的な「脱炭素」の潮流にあるということをレポートした。では、日本はどうか。じつはすでにひっそりと「成長なきインフレ」という最悪の状況が進行しつつある――いったいいま、何が起きているのか。

■「円安ショック」のダブルパンチ
 足元の消費者物価指数でみてみると、米国の物価は7%程度、欧州(ユーロ圏)は5%程度の上昇をしています。

 米国では39年ぶりの高水準、ユーロ圏では過去最高水準となっているのです。

 その一方で、日本は今のところ0.5%程度の上昇にとどまっていますが、これは携帯電話の通信料の値下げで1.5%程度押し下げられた影響を含んでいるため、その影響がなくなる2022年4月以降は2%程度の上昇に達するとみられます。

 日本が数字以上に苦しいのは、資源価格の上昇に加えて、過度な円安が企業の業績をむしばんでいるからです。
https://news.yahoo.co.jp/articles/66a1c613df13fca8ac2aa84b670151bf43651264
 円ベースの輸入物価指数は2021年11月〜12月に上昇率が40%を超え、現行統計(1981年1月〜)で最高の上昇率となっています。

■牛丼「値上げ」の事情
 これまで多くの企業が物価高でも販売価格への転嫁を抑えようと努力してきましたが、その努力も限界を迎えつつあるようです。

 たとえば、デフレの象徴でもあった吉野家の牛丼なども、主力商品の牛丼並盛を387円から426円に値上げ(約10%の値上げ)しています。