上司に性行為を強要され、その後一方的に解雇されたとして、川崎市の40歳代女性が同市の映像関連会社と取締役の男性に対し、
慰謝料500万円と未払い賃金などの支払いを求めた訴訟の控訴審判決が東京高裁(定塚誠裁判長)であった。
高裁は1審・横浜地裁川崎支部の判決で認定されなかった性的暴行や解雇の無効を認め、会社と男性に慰謝料400万円と未払い賃金などの支払いを命じた。

10日の高裁判決によると、女性は2014年8月、会社の飲み会で強引に酒を勧められて記憶を失い、男性宅で性的暴行を受けた。
女性は解雇を恐れてその後の性行為も拒否できなかったが、男性は17年2月、「辞表を書こうか」などと言って会社の私物を片付けるよう迫り、
女性は3月6日以降、出社しなかった。

 1審判決では男性に解雇の権限があるとの証拠はなく、14年の性的暴行は「消滅時効が成立した」として、訴えのほとんどを退けた。
しかし東京高裁は、社長の次男でもある男性が「権限を有していたと認めるのが相当」とした。
性的暴行なども、14年8月以降は「一連のものとして捉えるべきだ」として、消滅時効と判断する必要がないとした。

 会社と男性は、女性とは交際していて互いに承諾があり、解雇についても、女性が無断で出社しなくなったと主張していた。

https://www.yomiuri.co.jp/national/20220212-OYT1T50342/