シカゴで活動している日本人スタンダップコメディアンのSaku Yanagawaによると、アメリカのスタンダップコメディが“タブーなき笑い”であるというのは大きな誤解なのだという。

「そもそもアメリカのスタンダップコメディは、ユダヤ系や黒人など、差別されていた人がその現状を笑い飛ばすようなネタをやったというのが原点といわれている。自身の出自や人種、ジェンダーを半ば自虐的にジョークにして笑いをとってきた。例えば日本人だったら、目が細いとか、背が低いとか、僕自身もそういう自分のステレオタイプをネタにしたことがあるし、簡単に笑いも取れる。

 ただ、アメリカでは他人の容姿をいじるのはダメです。ここ最近は特に“ボディシェイミング”をやめようという考え方が広まっている」

 ボディシェイミングとは、他人の容姿を馬鹿にしたり、批判したりすることを指す。2016年4月に歌手のアリアナ・グランデが来日し、「スッキリ!!」に出演した際、マイケル・ムーア監督やシュレックに似ているとイジられるハリセンボンの近藤春菜に対し、アリアナは一切笑わなかった。

「“デブいじり”や“ハゲいじり”などがダメなのはもちろんですが、大阪のオバハンが『あんた、顔ちっちゃいねんなー』って言うのも、一見褒めているように聞こえますが、『顔は小さいほうがいい』という自分の物差しで他人の顔をいじってるわけで、これも時代遅れとされている。アメリカの笑いの世界では、褒めるのもけなすのも、他者の容姿をいじるのはもうないんですよ」

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