「一緒に死ぬ。それしか満足しない」他人巻き込む「拡大自殺」 未遂経験者は…クリニック放火殺人"連鎖”の懸念

大阪・北新地のクリニック放火殺人事件で、警察は死亡した谷本盛雄容疑者を放火と殺害の疑いなどで16日、書類送検した。(中略)
捜査などで見えてきた動機は、人を巻き込み自らの命を絶つ「拡大自殺」。

(中略)

専門家「社会との接点あれば防げた可能性」

拡大自殺を実行してしまった谷本容疑者。
専門家は社会との接点があれば、防げた可能性があると指摘する。

精神科医 片田珠美さん:
谷本容疑者は孤立していた。孤立していて社会との接点がほとんどないと、歯止めになりうるものがないわけですね。これは我々の身におきかえてもそうなんですけど、他人と社会との接点が全くなくて、自分の世界だけに入り込んでいくと、かなり極端な方向に走りますよね。
ちょっとでもやり返したい、一矢報いたいという気持ちになりますよね。一人で死んでたまるかという気持ちにもなりますので、どんどんそっちの方向に向かっていったのではないでしょうか

11年間無職で、家族とも絶縁状態だった谷本容疑者。
誰の連絡先も登録されていなかったスマートフォンを使い、検索していたのは「道連れ」「死ぬ時くらい目立ちたい」などの言葉。
さらに過去の無差別殺人事件について、何度も検索していた。

この事件以降、他人を殺害した後、自分も死のうと思ったと供述している、拡大自殺の事件が相次いでいる。

精神科医 片田珠美さん:
誰にでも自分が認められたいという承認欲求はあります。それが満たされていると怒りや不満を抱かず、復讐願望を抱かずに済むんですけど、今の世の中をみると承認欲求を満たされていない人がものすごく多いんですよ。
そういう人が社会に対する復讐みたいな形、復讐をしようとして犯罪をおかしたりとか、誰かを攻撃したりとか、ものすごく増えている印象ですね

(中略)

「喪失」と「孤立」が明らかになった谷本容疑者。
何も語らぬまま死亡し、書類送検で捜査は終結した。
再び悲劇を繰り返さないために、社会はこの事件とどう向き合うのだろうか。

https://www.fnn.jp/articles/-/336005?display=full