若者のナショナリズムに危うさを感じる人も
 コロナ禍をきっかけに、中国人の海外を見る目は大きく変化している。コロナ禍初期の2020年前半は、武漢から感染が拡大したと海外から猛烈な批判を浴びたが、中国でコロナが収束していく一方で、世界各国で猛威をふるう。封じ込めが当局の功績であるという政府の宣伝も繰り広げられ、ゼロコロナ政策を継続している。

 多くの中国人が「コロナを抑え込むことで、自信がついた」と語る。欧米や日本ができなかったことを、人口が14億人もいる中国は成し遂げられたと考え、「これまで母国(中国)に自信が持てなかった人たちが、初めて自信を持つきっかけになった」(ある中国人)という。

 同時に「今までずっと高みにあると思っていた欧米や日本などが、実はそれほどではないと感じ、『アメリカはたいした国ではなかった』、『民主主義の国は、あの程度か』と思った人もいた」ようだ。「アメリカ程度の民主主義ならいらない」とまで口にした人もいた。

 政府もメディアを使って「中国政府がいかにコロナ対策に成功したか。(その引き合いとして)欧米のコロナ対策はいかに失敗したか」を宣伝し、彼らがそのように信じるように仕向けている。自国礼賛と欧米批判の反復が、中国人の考え方に大きな影響を与えている。

https://business.nikkei.com/atcl/gen/19/00441/032300001/?P=3
「米国程度の民主主義なら要らない」と語る中国人