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地銀特化ファンド、北国FHDの中計策定支援 株主目線で

地方銀行に特化した投資ファンドを運営するありあけキャピタル(東京・中央)は、出資先の北国フィナンシャルホールディングス(FHD)が28日に公表する中期経営計画への助言契約を結ぶ。地銀が株主を巻き込んで企業価値向上に取り組むのは珍しい。コーポレートガバナンス(企業統治)の向上にもつなげる。

ありあけが提案するのは北国FHDの資本政策や投資家向け広報(IR)の分野だ。具体的には政策保有株の売却や地元企業への出資機能の強化、行員の意欲向上に向けたストックオプション(株式購入権)の付与といった取り組みで助言する。

一般事業会社では金融機関などの債権者や株主がガバナンスで大きな役割を果たす。銀行にとっての債権者は預金者で、銀行法には主要株主規制もある。ガバナンスでは株主や債権者より金融当局を意識する風潮が根強い。

東京証券取引所の市場再編で新たに「プライム」「スタンダード」「グロース」の3市場が始動した。北国FHDを含む多くの地銀は実質最上位にあたるプライムを選んだが、プライム上場企業はグローバルな投資家との建設的な対話を中心に据えた企業向けとされている。

株主を巻き込んで企業価値の向上策で対話を深めることは、地銀にとっても重要な意味を持つ。ありあけキャピタルは2021年12月に50億円規模のファンドを立ち上げ、北国FHDを含む数行に出資している。これまでも出資先に資本政策などを提案してきたが、契約を結び、経営内容を深く知ることでより実態に即した助言につながるとみている。