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「絶望」の中国農村部…便所は豚小屋脇の穴・築98年の木造[共同富裕の現場から]

内陸部湖南省の省都長沙でタクシー運転手として働く 舒桂林シューグイリン さん(55)は、約500キロ・メートル離れた山あいの実家に帰省するたび、絶望的な思いがこみ上げる。
人口約1000万人の長沙など都市部と比べ「すべてが20年以上遅れている」と痛感する。

 実家は築98年の木造平屋。虫に食われ、倒壊の恐れから地元政府が「危険」とはり紙をしている。お湯も出なければ冷暖房もない。
トイレも豚小屋脇に掘った穴を扉で囲っただけだ。80歳代の無職の両親に、日本円にして月9万円前後の収入から仕送りしている舒さんにも、修繕する経済的余裕などない。

 最寄りの商店まで車で20分余り。高齢で買い物にも行けない両親は、親戚が時々届ける野菜やコメでなんとか生活をつないでいる。
舒さんが出稼ぎに出て25年。都市の発展ぶりを知るだけになおさら「農村は取り残されている」と感じる。