ギザの大ピラミッドを透視する――宇宙線で内部構造をスキャンする断層画像解析技術を開発

アメリカのフェルミ国立加速器研究所のプロジェクトチームが、
エジプトのギザにある大ピラミッドを宇宙線でスキャンすることにより、
ピラミッド内部にある空洞に何があるか探索する計画を推進している。
宇宙線が大気中の原子に衝突して生成されるミュオン粒子(μ粒子)が、
ピラミッドを透過する際に得られる透過像を、まるで健康診断のレントゲン撮影のように観察するものだ。
この原理は既に半世紀前に実証されているが、先端的な高感度検出器を装備した大きな望遠鏡を活用するとともに、
ピラミッドを全方位からスキャンして得られる膨大なデータから画像再構成アルゴリズムを駆使して、
高精度の画像を得ることができると期待している。
研究論文が、2022年2月16日に論文公開ウェブサイトarXiv(物理)に掲載されている。

宇宙から飛来する一次宇宙線が大気中の原子に衝突するとき、
ニュートリノとミュオンの2種類の素粒子が生成され、地表に降り注ぐ。
ミュオンは1936年に発見され、X線の透過力を遥かに超える数十m〜1kmの透過性を有することが判った。
また、ミュオンは電子の数百倍も大きいため、岩石や空洞など物質密度の違いによってその透過性が変化するため、
地下資源探査や巨大構造物の内部解析などへの応用が検討されてきた。

https://engineer.fabcross.jp/archeive/220419_great-pyramid-of-giza.html