習近平はゼロコロナ政策の過激な進め方、ウクライナ戦争でのプーチンとの準同盟化の失敗などで窮地に陥っている。全国の政治経済情勢が大きく乱れ、党内の各レベルの指導者も我慢の限界だ。もしこういう状況に歯止めがきかず、習近平が己のやり方に固執して、独断で突き進めば、共産党の集団指導体制は消滅の危機に瀕することになる。

 このことから、党内では江沢民、曽慶紅、胡錦涛の長老たちが協力して、党、政府、軍、警察の実力人物を説得して支持を得て、また王岐山、王滬寧とも連携して政治局拡大会議を開催した。その会議席上で習近平問題について討論し、習近平に圧力をかけて権力放棄を迫り、第20回党大会で正式に引退するように迫った。

 習近平は権力を放棄し、日常任務を李克強に託すとしたほか、第20回党大会の前に、政策基調の方向性を転換し、少しずつ目下の冒険的極左主義的やり方から脱していくことも認めた。

政治局常務委員会は習近平の仕事について、前期の反腐敗キャンペーンや厳格に党を統治したことについては功績を認め、習近平問題について16字の表現で評価を制定した。すなわち『提前交権、到站下車、平穏過度、不追責任』(権力の委譲を前倒しにして、政権の座を降りては平穏に過ごすならば、責任は追及しない)。

習近平は第20回党大会前の間は、総書記および国家主席などの儀礼的な仕事は続け、引退後は江沢民、胡錦涛のような退職国家指導者と同じ待遇を得られる。習近平は引退後、権力闘争を拡大せず、報復などもせず、安定を維持し、党と国家のイメージを守ることした。

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