ウクライナ侵攻で新局面 非正規部隊のパルチザン、南部でロシア軍や親ロシア派を攻撃
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気がかりな動きもある。5月、民間人もパルチザン戦の対象になり始めた。ロシア軍に協力する親ロシア派ウクライナ人がターゲットだ。
市内の原発をロシア軍が占拠した、南部ザポリージャ州エネルゴダル市。ロシア軍が現市長を銃で脅して市外へ追いやった。軍がすげかえた新「市長」が狙われた。5月23日、母親のアパートの玄関先を出ようとしたところ、仕掛け爆弾が爆発。上半身をやけどし、鎖骨を折る重傷を負った。
ウクライナ軍現地司令部はこの日、次のように発表した。
「爆破の際、対ロシア協力者のみを正確に狙い、巻き添えはなかった。パルチザンの待ち伏せ攻撃と結論できる。(ロシアの)占領者は、若者2人の行方を追っている」
メリトポリでも5月30日、中心部で乗用車が爆破され、男女2人が胸や足に大けが。爆風による黒煙が市上空を覆った。
米国の戦争研究所は、攻撃はパルチザンによるものとの見方を示唆し、6月4日、次のように伝えた。
「通信遮断などの措置にもかかわらず、ロシアの占領当局は、ウクライナのパルチザンを完全に抑制することはできていない。南部ヘルソンの占領当局者は、安全のため防弾チョッキを身に着けたり、移動に装甲車を使ったりし始めた」
一方、ウクライナ政府は、親ロシア派ウクライナ人への攻撃について、奨励はせずとも黙認はしているようだ。
ウクライナ国防省の「市民のレジスタンス・センター」は6月1日、次のように述べた。
「メリトポリ市内で、ガリーナ・ダニリチェンコ『市長代行』を標的とする写真つきのビラが現れた。敵にモラルや心理面での圧力を強めるため、ビラや国旗などのウクライナのシンボルの数を増やすべきだ」
ウクライナ南部では、親ロシア派の顔つきのビラが、街路樹や建物のガラスドアに貼られている。「知事」「市長」ら15人。その居場所の情報を提供したウクライナ市民には「懸賞金」が支払われるという。
パルチザンの攻撃は、親ロシア派による「統治」を妨げ、彼らが狙うロシア編入の住民投票実施を難しくしているのは確かだ。しかし、戦線の膠着を打破するだけの力はない。
6月7日もヘルソン市の喫茶店で爆発があり、10人がけがした。ロシア、ウクライナ双方のメディアが伝えた。
https://globe.asahi.com/article/14641911