
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/96296
「ラーメン1杯1600円」の衝撃! 超人気店の突然の値上げに9割のラーメン店がついていけない理由
この投稿はテレビのニュース番組でも扱われていたので、目にした方も多いかもしれません。
個人的には、後半の「理由は原材料の価格高騰ではなく、未来のラーメンの事を自分なりに考え出した答えです」の部分に、「飯田商店」店主の飯田さんの強い気持ちが表れていると感じましたし、ラーメン業界がしっかりと向き合わなければいけない問題だと思いますが、今回は話題となった「ラーメンの値段」に話を絞ります。
僕が経営するラーメン店「渡なべ」でも、近年、ラーメンの値段を830円→880円→930円と値上げをしてきています。それでも、1000円は超えられていません。まだ、多くのラーメン屋が1000円を超えられない状態です。そこで今回は、ラーメン屋が「1000円の壁」を超えられない事情について触れたいと思います。
様々な費用が高騰
「1000円の壁」というのはラーメン業界で昔(20年以上前?)から使われていて、業界として、この値段に壁を感じていることから生まれた言葉です。
今回の「飯田商店」の件の前から、ここ数年、ラーメン業界内では値上げの話は頻繁に出ていました。原材料や人件費など、さまざまな費用が高騰する中、「このままじゃやっていけない、どうする?」という話です。ラーメン屋同士がお互いの顔を見ながら、「お前、どうする?」と。
僕は、フードジャーナリストの山路力也さんと仲良くしていて、頻繁に、2〜3ヶ月に1度はこの話になります。
彼の主張はこうです。
「良いものを作っている自信があるなら、もっと堂々と値段を上げるべき。正当な利益を取れる売価をつけて、正しい原価率、正しい利益率を確保しないと続かないよね。自分の作っているラーメンに自信ないの?例えば100〜200円上げたとして、それで来てもらえなくなると思ってるの?そんなラーメンなの?」
もうね、こう言われるとね、何も言えなくなるわけです。至極もっともな意見なわけです。ちゃんとしたものを作っている自信は、もちろんあります。でも……。
山路さんのこの主張をラーメン屋さんに投げかけると、僕も含めてほぼ全員が同じことを言います。
「それはその通りだと思います。でも、怖いんですよ」
ほぼ全員から、「怖い」という言葉が出てきます。