山梨県笛吹市で相次いでいる果物の盗難被害を防ぐため、四輪駆動の軽自動車に乗るメンバーらが連夜、ボランティアでパトロールを続けている。6月には北杜市須玉町小尾で発生した大規模火災現場でがれきの撤去にも加わった。悪路に強く、小回りが利く「四駆の軽」で世のため人のために奮闘している。

パトロールを実施しているのはNPO法人「山梨県地震対策四駆隊」(笛吹市)。スズキの四輪駆動車「ジムニー」に乗って山間部のオフロード走行などを趣味にしていたメンバーらが2010年、「被災地支援に貢献したい」と発足させた。土木業、農業から会社員まで20~70歳代の男性46人が参加している。

11年には県との間で災害時に協力する協定を締結。16年の熊本地震、18年の西日本豪雨では地面が荒れた被災地に四駆で出動し、重機を操作できるメンバーが土砂の撤去や道づくりなどに貢献した。

ジムニーは1970年、当時珍しい四輪駆動の軽自動車として発売された。軽量な車体ながらも悪条件の地形に強い走行性能が魅力で、キャンプブームも相まって人気が高まっている。果樹園周辺はパトカーが入りにくい狭い道が多いため、その威力を発揮できる。

笛吹市でのパトロールは、過去に果物盗難の被害に遭ったメンバーがいたことから、警察に申し出た。6月下旬から、軽トラックも含めて5~8台が連日深夜から午前3時頃にかけて果樹園の見守りをしたり、高台から監視したりしている。

これまでに、盗もうとしたモモを置いて走って逃げる人影や、物色するようにノロノロ運転する県外ナンバーのワゴン車などを発見した。深追いすると、危害が及ぶ恐れがあるため、まず警察に有力な情報を提供することを優先しているという。

https://www.yomiuri.co.jp/national/20220801-OYT1T50055/