政府は31日、経済産業省の作業部会で、今後本格化する商用原発の廃炉に関連し、廃炉に必要な資金を確保・管理し、国全体の廃炉計画をマネジメントする組織を設置する案を示した。組織は、事業計画の認可などで国が関与・監督できる「認可法人」が適当だとした。作業部会は今後、この案を軸に中間報告をまとめる。

 案によると新認可法人は、廃炉に必要な資金を確保するため、電力会社など原子力事業者に対して毎年、拠出金の支払いを義務づける。廃炉費用については現在、省令に基づいて、各事業者が引当金を毎年度計上しているが、より確実に必要な費用を確保し、仮に電力会社が経営破綻した場合や、廃炉の時期が予定より早まった場合にも対応できるようにする。仮に、想定外の事態で新法人の事業継続が困難になった場合は、国が必要な措置を講じる仕組みも必要だとした。

 また、廃炉作業では各原発で共通の課題が多い。そのため案では、作業に必要な設備やサービスの共同利用、研究開発、地元理解の促進なども新法人が担うとしている。これらの費用は拠出金で捻出し、廃炉作業の合理化を図る。

 認可法人には、原子力損害賠償・廃炉等支援機構や使用済燃料再処理機構などの前例がある。新法人の責任の範囲や役割の詳細、各原子力事業者が支払う拠出金の規模などは今後、作業部会で議論を深める。

 国内には現在、57基の原発があるが、約4割に当たる24基の廃炉が決まっている。【吉田卓矢】
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