女優で自らが経験した連続少女拉致事件をモチーフにした映画『ら』を監督したことでも知られる水井真希が、映画『シン・ゴジラ』『進撃の巨人』で特殊造形プロデューサーを手がけた西村喜廣監督から暴力や性被害などを受けていたと告発。双方がSNS上で批判を繰り広げ、混沌とした状況となってファンを困惑させている。

 水井は8月30日、Twitterで10代のころから園子温監督のアシスタントを務め、その後に西村監督に師事したという経緯を説明しつつ「そこから1年、私はノーギャラで特殊メイク・造型のアトリエで働きました。アトリエではミスに対する体罰は至極普通の事でした」として、体罰が常態化していたと明かした。

 やがて合意の上で肉体関係を持つようになったというが「機嫌を損ねている際は私に、殴る、罵倒する、物を壊す、などの暴行を振るいました」と暴力を振るわれることがあり、「一度、顔面を殴られて鼻血を出した際は、氏の奥様を交えて話し合い『もう二度と殴らないと約束する、今回は警察沙汰にしない』と場を納めました」といった大きな騒動にも発展したという。

 先述した水井の監督作『ら』で西村監督はプロデューサーを務めたが、このころにも「殴る以外の暴行は継続していました」とし、さらに「『お前は男への文句を言ってばかりだ』と、私の活動そのものを否定する精神的抑圧が顕著になりました」としている。

 水井によると、西村氏が『シン・ゴジラ』や『進撃の巨人』に参加したころには「氏の周囲には女性が群がり、多数の肉体関係を持っていました」とのこと。

 水井は「ヤリたい権力者と媚びたい女のWin-Winの関係なら問題はない」とした上で「私は行為の負担が減ってたすかりました」と記したが、その一方で西村監督から「髪や腕を掴んで引き摺りまわす、物を壊す、無能であると罵られる、ノーギャラでの仕事」などのハラスメントを受けていたと主張した。

 また、水井は西村監督の妻が「私(水井)と氏の関係について、ご自宅で暴れなくなった分『助かっていた』」「私以外の女性との関係についても『大人の関係であるなら構わない』」と話していたと証言。西村監督の妻と娘の生活を壊さないように関係を断つことで終わりにしようとしたというが、西村監督から性被害を受けたという19歳の少女から相談を受けたことをきっかけに告発に至ったという。

 さらに「彼女は、氏と園子温と冨手麻妙の三角関係に巻き込まれ、冨手からのいじめ、業界内で干される被害にも遭っています」「それ以外にも氏からのセクハラ、枕強要被害者が大勢おり、裏付けを進めています」と真偽不明ながら突然の“暴露”まで飛び出し、「西村喜廣」がトレンドワード入りするなど水井の告発は大きな話題となった。

 これに対して、西村監督は同31日付のTwitterで「彼女が雇用した弁護士からの和解契約があるので、ずっと黙っていましたが」と前置きした上で、「最初は不法侵入、器物破損。2度目は不法侵入、ハッカー行為、データ窃盗で逮捕、3度目はあからさまな誹謗中傷行為で逮捕され、起訴猶予に近い不起訴処分になっています」とツイート。

 水井は2019年に西村監督と未成年少女との関係をTwitter上で告発し、西村監督の訴えによって逮捕され、その後に不起訴になったと明かしていた。西村監督のツイートは、それ以外にも多くの問題行為があったことを示唆しているようだ。

西村監督は「僕は我慢していましたが度が過ぎます」とし、先述の映画『ら』の制作費などをめぐる西村監督と水井の紛争の和解契約書を公開した。

 昨年2月に交わされた同契約書には「相互の秘密情報について守秘するものとし相互の名誉を毀損したり、誹謗中傷したりしないことを、ここに約する」「第三者から問い合わせがある場合には、簡潔に『従前は紛争があったが、現在は円満に解決して、配給権は乙(水井)にある』皆、結論のみを互いに回答できる」といった文言がある。

だがこれに水井は「あれは、“水井が全ての権利を所有している映画【ら】の収益を、西村映造(※西村監督の会社)が『払いたくない』と云う理由で払わずにいた問題”の和解契約書で、それ以外の何物でもありません」と反論。さらに「ハッカーとデータ窃盗で逮捕された事はありません。虚偽による名誉毀損ですから、訴えましょうか」「『起訴猶予に近い不起訴』はただの願望なのではないでしょうか。根拠が不明です」とも主張した。


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