イチジク900個、メロン250個…秋の味覚盗難相次ぐ「こんな量は今まで記憶ない」各地で対策構築へ

秋の味覚として最盛期を迎える農作物の盗難が、全国で相次いでいる。

新潟市西蒲区では出荷が開始されたばかりのイチジク人気ブランド「越の雫」約900個が被害を受けた。
西蒲署によれば、被害額は時価約7万2000円で、犯行は9月1日の午後3時から翌日午前5時半ごろ。「露地栽培で知る人ぞ知る名物」だという。

JA越後中央いちじく部会の堀内多計司部会長(73)も4日、「こんなにまとまった量がとられてしまうことは今までに記憶がない」と驚きを隠せない様子だ。「1パック3~5個くらいで販売しているので、900個だと250パックくらいになる。すごい量なので明るい時ではなく、夜に回収したのでは」。
イチジクは比較的背丈が高いので日中でも死角になりやすい。「ちょっとひねれば実がとれてしまう」。生産者の自宅から離れた場所に畑が点在する場合も多く「どう対策すれば良いか考えないと」と頭を悩ませる。

メロン産出量日本一の茨城県鉾田市では、ビニールハウスで栽培されていた高級品種「アールスメロン」約250個(被害額約25万円)が先月末に盗まれた。「9月末に収穫予定のものなので、まだ硬いし甘くないのに…。この仕事は盗難がなくなることはない。防犯対策をしていくしかない」。地域などと連携した防犯態勢の構築を求めた。

「フルーツ王国」を誇る各地で、対策を進めている。特に被害が続出している山梨県では、NTTや自治体、警察を含めた「農作物盗難対策ソリューション実証実験」を8月から開始。農家に防犯カメラなどの機器購入助成も行い、不審者の検知や通報のシステムを連動させていく。
同県の南アルプス市では作物を積んだ不審車両を判別しやすくするため、農家や輸送業者の車に「果実盗難防止ステッカー」を貼った。夜間の見回りだけでなく、ドローンを導入した空からの監視を始動した自治体もある。【鎌田直秀】

◆越の雫 JA越後中央のイチジク独自ブランド。09年に商標登録。雫が舞い落ちたような、みずみずしい果実のイメージから命名。新潟県産の約7割を新潟市内で生産。出荷時期は8月中旬から11月中旬。栄養価が高く、美容や健康にも良いと言われ、
大ぶりな実のつぶつぶ食感、ほのかな甘みや芳醇(ほうじゅん)な香りが特徴。生食以外にもシロップ煮やジャム、ケーキなどの菓子でも美味。イチジクは世界最古の栽培果樹と伝えられ「不老長寿の果実」と呼ばれている。

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