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女子プロボクサーがタイトル獲得 昨年同性愛を公表、地元で講演も

大分県竹田市出身の女子プロボクサー菊池真琴(まこと)さん(35)=東京・山木ジム所属=が、東洋太平洋女子バンタム級王座決定戦で初のタイトルを獲得した。「次は世界を目指す」と言う菊池さんは昨年夏、性的少数者のレズビアン(女性同性愛者)であることを公表しており、今月下旬に市など主催の人権集会で講演する。
王座決定戦は6月22日に東京・後楽園ホールであり、プロ3戦目の菊池さんが3―0で判定勝ちした。

 菊池さんは同月30日に竹田市役所を訪問し、土居昌弘市長に「次は世界を目指す」と宣言。報道陣に「日本では格闘技が男子の競技だという固定観念があるが、私たちが海外でがんばって女子格闘技の人気が日本でも高まるようにしたい」と抱負を語った。

 菊池さんは元々剣道に打ち込んでいた。力を伸ばすために13歳で竹田市を離れたが、実家に両親と祖母の3人が暮らしており、「竹田が自分の原点」という。

 大学を卒業して仕事を転々とした後、ボクシングに転向した。「ボクシングなら剣道の動きが生きる」と考えて練習を始め、2018年にアマチュアボクシングの日本女子ウエルター級で優勝。東京五輪を目指したがかなわず、20年にプロに転向した。

 昨年にはレズビアンであることを公表した。小学生のころから人に言えなくて悩んでいたという。その活躍や生き方に注目していた竹田市人権・部落差別解消推進課が今月23日に市内で開く「人権を守る市民の集い」での講演を依頼した
菊池さんは「『女の子がボクシングをしたら嫁に行けない』などの問題発言が根強く残る状況を考えてもらい、性的少数者への理解も求める話をしてみたい」と語った。

 竹田市は4月、性的少数者などのカップルの関係を証明するパートナーシップ制度を始めた。宣誓書を提出すると、市から証明書が発行され、公営住宅に家族として入居できる公的サービスなどが受けられる。ただ法的な効力はなく、相続権や共同親権など結婚したカップルが持つ権利は得られない。

 県内では同市を含む3市しかこの制度を導入していない。菊池さんは「結婚という法的制度にはまだなっていないが、今まで公言できずにいた性的少数者に少しは光を与えられるのかなと思う」と話した。