小学生がトミー・ジョン手術 パパコーチに知ってほしい深刻な現実

 慶応義塾高の硬式野球部監督だった上田誠さん(65)が学童野球の現状を知ったのは、監督を後進に譲った2015年だった。

 激戦区の神奈川県で、横浜や東海大相模といった強豪高と互角に争い、夏に1度、春に3度、甲子園に出場した。グラウンドを離れても、知り合いの整形外科医が企画したスポーツドクター向けセミナーに関わった。
パネリストとして登壇したり、運営を手伝ったりしていた。

 そんなとき、一人の医師に声をかけられた。
 「上田さん、知っていますか」

 続く言葉に、衝撃を受けた。
 「神奈川でトミー・ジョンとか、ひじの手術をした子どもが、去年で20人くらいいたんです」
 え、小学生が……。

 トミー・ジョン手術。正式には側副靱帯(じんたい)再建術と言う。断裂したひじの靱帯の代わりに、体の別の部位にある靱帯を移植する手術だ。大リーグ・エンゼルスで活躍する大谷翔平選手(28)も右ひじを痛め、18年に受けた。
 プロや社会人、大学生、そして高校生くらいまでは聞いたことがあったが、まさか小学生までも……。気になって神奈川の小学生年代の野球環境を調べてみたら、また驚いた。

https://digital.asahi.com/articles/ASQC94386QBVUTQP00J.html