――殿下は昨年の記者会見で、皇室に対するバッシングや誹謗(ひぼう)中傷ととれる報道などに対し、反論する場合の「基準作り」の必要性に言及されました。
一方、宮内庁は来年度から情報発信強化のため、新しく人員を確保し、海外王室でも活用例のあるSNS(ネット交流サービス)を使うことも検討しています。
皇室の情報発信についての殿下のお考えや、現在も一部で続くバッシングなどへの対応について、宮内庁と話し合っている事柄がありましたらお教えください。

 ◆今、さまざまな情報が世の中にあふれていると私は思います。皇室についてのいろいろな事柄もその中に含まれており、正確な情報もあればそうでない情報もあって
非常に多様なものが流れていると思うのですね。そういう中にあって、やはり皇室の情報発信というものも、正確な情報を、何て言いましょうかね、タイムリーに出していくということが
必要であるとともに、どこにそういう、その最もきちんとしたと言うか、正確な情報がどこにあるのかということが分かることも大事なことだと思っています。

 宮内庁がSNSなどを使って広報の強化をするという報道もありましたけれども、今、海外の多くの王室はウェブサイトとSNSを組み合わせて使っていると思います。
どうでしょうね、こういう例えが適当かどうかは分かりませんけれども、ある意味その、ウェブサイトには必要な情報の全てが書かれていて、それでSNSの方には短いけれども
非常に大事な情報が出ている。そして、今、いろいろなことを知るために調べるときというのは、多くが恐らくスマホ、スマートフォンを使って調べる時代になっています。
そうするとSNSにたどり着いて、そこである情報を知って、更に詳しく知りたい人は、本体であるウェブサイトの方を見る。何て言うか、惑星があって、惑星にたくさんの情報があって、
そしてその周りにある衛星の方に、短いけれども非常に大事な情報が載っている。そういう関係性なのではないかなと思っています。私も詳しくは承知していませんけれども、
そういう構図を恐らく宮内庁も考えているのではないかと思います。

 そして、もう一つ話のあった、バッシング記事などについてでありますけれども、私は去年のこの場で、それについて何かもし反論をするのであれば、
それについての基準を作る必要があるのではないかというお話をいたしました。その後に宮内庁の関係者とも話をしたりしました。意見としては、
何らかの基準を満たした場合に反論する必要があるだろうと言う人もいれば、一切そういうことはしない方が良いだろうということを言う人もいました。
実際に私もある記事をサンプルにして、その記事の中にどれくらい事実と異なることが書かれているかというのを自分でやってみました。
というのは、事実か、事実誤認かというのは当事者でないと分からないことが多々あるからですね。そうすると、やはりかなりの労力を費やさないといけないことがよく分かりました。
そのようなことから、基準を作って何かそれに対して意見を言うということはですね、なかなか難しいなと思っておりますし、これは引き続き検討していく課題なのかなと思っております。
これで質問に答えていましたでしょうか。

https://mainichi.jp/articles/20221129/k00/00m/040/325000c