習主席のサウジ訪問、バイデン政権に警戒感 アメリカは関係悪化

12/8(木) 12:52配信

中国の習近平国家主席のサウジアラビア訪問について、
米国家安全保障会議(NSC)のカービー戦略広報調整官は7日の記者会見で、「
中国が世界で影響力を拡大しようとしていることに留意している。
中東地域は中国が間違いなくそのレベルを深めようとしている地域の一つだ」と警戒感を示した。

サウジは米国にとって中東で最大の同盟国だが、バイデン政権になって人権問題や
エネルギー供給を巡って関係が悪化。習氏の訪問で、「唯一の競争相手」と
位置づける中国の存在感が地域で高まるとみて、米政府は注視している。

人権重視の外交を掲げるバイデン大統領は、2018年にトルコ・イスタンブールのサウジ総領事館で
起きたサウジ人記者殺害事件を巡って、大統領就任前からサウジ政府を批判してきた。
武器売却による経済的利益を優先して蜜月関係を築いたトランプ前政権の姿勢を見直し、サウジ政府と距離を置いた。

しかし、ロシアによるウクライナ侵攻などで原油やガソリン価格が高騰すると、
バイデン氏は7月に就任後初となる中東歴訪の一環としてサウジの訪問に踏み切った。
米政府として「記者殺害事件に関与した」と判断しているムハンマド皇太子とも会談し、
原油増産を要請した。しかし、10月にサウジやロシアが主導する「石油輸出国機構(OPEC)プラス」が大幅減産を決定。
バイデン氏の訪問は空振りに終わり、反発した米政府は再びサウジとの2国間関係の見直しに入っている。

 米メディアによると、サウジに到着した習氏を空港で出迎えたのはファイサル外相や州知事ら。
バイデン氏が訪問した際には駐米サウジ大使や州知事らのみで、空港に閣僚の姿はなかったという。

カービー氏は会見で対サウジ関係について「米国の安全保障の利益に最も適したものにする」と説明。
一方で「われわれは他国に米国か中国かの選択を迫ることはない」と述べ、
習氏の訪問を静観する構えも見せている。【ワシントン鈴木一生】

https://news.yahoo.co.jp/articles/d585d90684d4be7b504a61ea5f5426dc0b89f571