finalの細尾(満)代表に話を聞いたところ、完全ワイヤレスの音の悪さは、Bluetoothが原因ではないことが分かったそうです。Bluetooth経由では良いコーデックでイヤフォンまで信号が来ていて、それ以外のデジタルオーディオ系、電磁変換系に大きな問題があることを発見したそうです。

つまり「Bluetoothの音は悪い」という常識が間違っていた。そして、その常識に基づいていたため、「Bluetoothの音が悪いんだから、いくらやっても悪いまま。それなら周波数特性を強調しましょう」という考えに行ってしまい、それ以外の部分での進化が止まってしまっていたのです。

finalの興味深いところは、5人ほどの専門家による“諮問委員会”の存在。彼らは「音が良いとは?」「どういう音がふさわしいのか?」など、基本的な開発・研究をしていて、その結果、これまで業界で準拠してきたイヤフォン用のリファレンス周波数特性は間違っていたことが分かり、それとは完全に異なるカーブを発見。さらにBluetoothは決して悪くないことも認識したのです。加えて信号処理の合理化、発音ユニット造の改革、配線方法の改善……などにより、圧倒的に自然な音の実現に成功したというわけですね。

つまり、デジタル領域での問題点、アナログ領域での問題点を、狭いチャンバーのなかでどう解決するのか、真正面から突き詰め、それを突き抜けてみたら、この音が完成したわけです。

https://av.watch.impress.co.jp/docs/series/asakura/1461427.html