元刑事裁判官で法政大学法科大学院の水野智幸 教授に今後行われる裁判でどういった点が考慮されるかや想定される量刑・刑の重さについて聞きました。

水野教授は参議院選挙の応援演説中に元総理大臣を銃撃した点について「選挙結果に影響を及ぼしかねない犯行で、民主主義への重大な脅威があった」と指摘しています。

さらに手製の銃を使った点について「日本では銃器が簡単に手に入らないなかで、被告は自ら銃を作って、事件を起こしており、ほかの殺害方法に比べて重く評価されるのではないか」との見方を示しています。

一方、刑の重さについては総理大臣経験者が殺害された重大事件だとしつつも「政治信条に対するものではなく、母親の宗教の影響で人生が大変なものにされたという個人的な恨みが動機につながっていると思う」としたうえで、殺害された被害者が1人ということも考慮されるとみています。

そして「最高裁の死刑判決の基準では、利己的な考えで人を死に至らしめた場合に死刑が選択されるが、裁判では、被告には酌むべき事情があると判断されると思うので、極刑は考えにくい。被告の犯行動機を同情できるとみるか、あるいはどの程度同情できるかということが量刑の大きなポイントになる」と話しています。

また今後の裁判に向けては「法曹三者による公判前整理手続きが行われるがこの事件では、膨大な証拠があると予想され、証拠の開示に時間がかかるという懸念がある。ただし、犯行自体にはそこまで争いがないと思うので法曹三者が協力して一日でも早く準備を終えて初公判を開くように努力すべきだ」と話していました。

安倍元首相銃撃事件 山上容疑者を起訴 裁判の争点は | NHK | 安倍晋三元首相 銃撃
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