『星のカービィ』シリーズ、『ニンテンドウオールスター!大乱闘スマッシュブラザーズ』などの制作で知られるゲームメーカーの株式会社ハル研究所が、2022年に労働基準監督署の是正勧告を受けていたことが本誌の取材で明らかになった。テレワークをしていた従業員に対し、時間外手当および深夜手当の未払いがあったという。
そのハル研に労基署の「臨検(立ち入り調査)」が入ったのは’22年のこと。同社の関係者が言う。

「’20年9月頃から、中途入社でゲームの内蔵ブラウザ開発に加わったスタッフAがいました。チームで業務を分担していたのですが、ひとりでは対応できない分量の仕事を押し付けられる、
本来の業務とは関係のない仕事まで回ってくるなどの状況が続き、Aは次第に体調を崩していきました。それでもゲームに携われることにやりがいを感じ、我慢しながら仕事を続けていたそうです。

’21年の緊急事態宣言が出された際に、Aはテレワークを命じられました。こんな労働環境ですから、定時では終わらないことも日常茶飯事。
会議や打ち合わせが定時外に指定してあるのも当たり前。なので残業でタスクを処理していた……のですが、勤怠申請で異変に気付きました。在宅期間中は定時での申請しかできず、正規の時間を入力しようとすると承認の途中で棄却されてしまったのです」

残業しているにもかかわらず、時間外手当や深夜手当が支払われないーー。
Aは退職後、ハル研に未払いの手当について支払うように申し出たところ、「在宅勤務中は残業禁止という命令を確かにしており、『事業場外みなし勤務制度』を適用していたため、支払う必要はない」と応じなかったという。

「そんな命令は一切聞いていないし、就業規則にも契約書にも書かれていなかったそうです。仮に残業禁止だったとしても、とても定時で終わる量ではないタスクを抱えていました。
自身で記録していた正確な勤務時間をもとに、労働基準法第37条違反を労基署に申告。結果、臨検(立ち入り検査)が入ることになりました」(同前)

労基署の臨検の結果、Aは中途入社だったために在宅禁止の命令を知らされていなかったことや、事業場外みなし残業時間の雇用体系について周知が徹底されていなかったことが判明。
修正された勤怠とは別に、本来の時間で打刻された勤務管理表も保管されていたという。同社には是正勧告が下された。

「支払われてしかるべき手当を『払う必要はない』と回答したことで、ハル研に対する不信感は強まったそうです。
労基署の臨検後、ようやく未払いだった手当が支払われたといいます」(同前)
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