東京湾アクアライン付近の海域でも19日午後、クジラとみられる大型の海洋生物が確認された。映像で確認できる背びれや尾びれの特徴などから、村瀬氏は体長12~13メートルのザトウクジラとみている。

 ザトウクジラは夏に北太平洋のベーリング海やアリューシャン列島などで、小魚やプランクトンを食べる。11~3月ごろは、繁殖のために数千キロ南下し、主に水深200メートルよりも浅い海域に生息する。東京湾は回遊ルートの途中にあるため、「大阪湾に流れ着いたマッコウクジラとは事情が異なる」と話す。

 冬の日本近海でのザトウクジラの目撃情報は従来、生息域である小笠原諸島や沖縄が中心だったが、2015年以降は八丈島や三宅島など、より北の海域でも確認されるようになった。

 村瀬氏は理由の一つとして、1966年に商業捕鯨を禁止したことによる個体数の増加を挙げる。近年は関東近海の海水温が上昇傾向にあることも影響しているとし、「東京の近くにザトウクジラが集まる場所ができた。今後、目にする機会が増えるかもしれない」と話している。

 今回、東京湾で目撃されたザトウクジラとみられるクジラは、大阪湾で死んだマッコウクジラとは異なり、「伊豆諸島や小笠原諸島、沖縄などに移動する」と予測している。

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