世界最大のヘッジファンド運営会社ブリッジウォーター・アソシエーツは、創業者で資産家のレイ・ダリオ氏の引退後に経営方針が大きく変わる見込みであることが分かった。

  経営刷新はダリオ氏が5カ月前に経営権を手渡す前から始まっていた。引き継いだニル・バーディー共同最高経営責任者(CEO)率いる経営チームは今、リターンと収益性の向上、新たな収入源の開拓という野心的な戦略を採用している。

  ブリッジウォーターは旗艦ファンドの規模に上限を設け、より多くの資金と人材を人工知能(AI)と機械学習に投入。アジアと株式業務を拡大し、サステナビリティー分野を強化する。また、コストを削減し経営資源の制約を弱めるため、同社は今後2週間で全社的な再編に着手し、従業員約1300人のうち約100人を削減する。

  バーディー氏(41)はインタビューで、「これまでやってきたことをするだけでは十分ではない」と述べ 「進化するか死ぬか。それがここで起こっている」と語った。

  1380億ドル(約19兆円)を運用するブリッジウォーターの新たな方向性は部分的には、2020年に始まったリーダーシップ交代の産物だ。数年にわたる運用不振や、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)の最初の年の損失でブリッジウォーターは投資決定の監視委員会を設立した。それ以降、旗艦ファンド「ピュア・アルファ」の運用成績は回復し、年率リターンはプラス10%に改善したが、マクロ投資の同業他社の多くははるかに好成績を収めている。

  こうした変化はシタデルやミレニアム・マネジメントなどマルチ戦略の大手運用会社の台頭や生成AI、量子コンピューティングなどの技術の出現、サステナブルファイナンスのブームといったヘッジファンド業界の変化も映している。

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2023-03-01/RQUYSMDWX2PS01