特殊詐欺グループ19人 実在の携帯電話会社装いだまし取ったか

2023年4月7日 19時16分
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20230407/k10014031471000.html

特殊詐欺に関わった疑いで警視庁が逮捕状を取ったカンボジアにいる日本人19人が、実在する携帯電話会社を装って、うそのショートメッセージを送る手口で電子マネーをだまし取っていた疑いがあることが、捜査関係者への取材で分かりました。

19人はカンボジアを拠点にした特殊詐欺グループとみられ、警視庁は来週にも日本に移送して逮捕する方針です。

捜査関係者によりますと、警視庁が逮捕状を取ったのは25歳から55歳までの日本人19人で、ことし1月、都内に住む60代の女性から、電子マネーおよそ25万円分をだまし取ったとして詐欺の疑いが持たれています。

この事件で、グループが実在する携帯電話会社を装って「有料サイトの料金が発生している」などと、うその内容のショートメッセージを送り、記された番号に電話をかけてきた女性から電子マネーをだまし取っていたとみられることが、捜査関係者への取材で新たに分かりました。

19人は、カンボジア南部の都市シアヌークビルのホテルを拠点にした特殊詐欺グループとみられ、ホテルの部屋からは、特殊詐欺の手口をまとめたマニュアルや日本人の名簿、それに、大量のスマートフォンが見つかり、現地当局に押収されたということです。

警視庁 来週にも19人を日本に移送 逮捕の方針

19人は、現地に留め置かれているということで、警視庁は来週にも、捜査員を派遣して日本に移送し、逮捕する方針です。

専門家「犯罪のグローバル化を前提とした対策が必要」

犯罪学が専門の立正大学の小宮信夫教授は、特殊詐欺の拠点に海外が選ばれることについて、「日本国内では、法律や条例で社会的な締めつけが厳しくなっていて、拠点を確保するのが難しくなっていて、海外に出ているのではないか。特にカンボジアなどの東南アジアであれば、物価も安くメンバーをリゾート地に滞在させられるので、長期間でも怪しまれない。
町に出ても観光客と見分けがつかず、また現地の住民と顔つきも大きく変わらないので、目立たないと考えているのではないか」と指摘しました。

そのうえで「1つの国で規制が厳しくなれば、また次の国へ移動していくことが十分に予想される。

捜査機関と異なり、犯行グループには国境の壁はなく、犯罪のグローバル化を前提とした対策を講じる必要があると思う」と話しました。