不運?「ドラクエ続編」と発売が重なったファミコンソフトたち 「中身は良作なのに」

大作の影でキラリと光る名作ソフト

 満を持して世に出たはずなのに、人気のある別作品に隠れて印象が薄くなってしまった……
このような現象は媒体に関わらず、どんな分野でも起こりうることです。半世紀近い歴史をもつビデオゲームも例外ではありません。
開発者の創意工夫や野心が込められたタイトルであっても、影響力の強い人気シリーズの方が目立つことは珍しくないのです。

 今回は、国民的RPG「ドラゴンクエスト」(以下、ドラクエ)シリーズと同時期に誕生したファミコン用ソフトを紹介します。
大作の影に隠れてしまったものの、一定数のユーザーを惹きつけたソフトたちです。

●『ドラゴンバスター』
「ドラクエ」ブームを加速させた『ドラゴンクエストII 悪霊の神々』(以下、ドラクエII)よりも19日前の1987年1月7日に登場したのが、
ナムコの『ドラゴンバスター』です。アーケード版からの移植で、ファミコン版は金色の派手なカセットでも知られています。

 ファミコン版は主人公「クロービス」やキャラクターの動作面はアーケード版よりぎこちないものの、
単純なベタ移植というわけではなく、独自要素を数多く実装。「セリア姫」に付き従う侍女が追加されたほか、
攻略難易度が大幅にアップした「裏ドラゴンバスター」など、アーケード版には無い楽しみ方が用意されていました。

●『火の鳥 鳳凰編 我王の冒険』
「マンガの神様」手塚治虫が時代を超越する壮大なスケールで描いた『火の鳥』の劇場版に基づくゲームが、
『ドラクエII』と同時期にリリースされていました。それが、コナミのアクションゲーム『火の鳥 鳳凰編 我王の冒険』(以下、我王の冒険)です。
プレイヤーは主人公の彫刻師「我王」を操り、大和・来世・太古の時代を巡りつつ、自身が制作した火の鳥の彫刻を探し集めることになります。

「原作とゲーム版のストーリーが大幅に違う」という、版権ものにありがちな点を除けば、本作は同ジャンル内でも上位のクオリティといえるでしょう。
特に、設置アイテム「鬼瓦」を駆使した移動アクションは、『我王の冒険』を唯一無二の作品へと昇華させました。

二度も「ドラクエ」と発売時期がかぶったゲーム

●『魂斗羅』
『ドラクエII』と同時期に『我王の冒険』を発売したコナミは1988年2月9日、アーケードゲームからの移植版である『魂斗羅』(コントラ)を発売します。
しかし、翌日には社会現象を巻き起こした『ドラゴンクエストIII そして伝説へ…(以下、ドラクエIII)がリリースされることに。
世間は『ドラクエIII』一色に染まっていましたが、ファミコン版『魂斗羅』はアーケードの爽快感を上手く取り入れることに成功しました。

 ファミコンソフトながらも、弾幕やキャラクターが入り乱れる銃撃戦を、目立った処理落ちなどもなく見事に描写。
新規ギミックと手強いボスも加わってプレイバリューがアップし、アーケード版の不足部分を補った完全版といっても差し支えないほどに仕上がっていました。

●『スーパー魂斗羅』
 前作の発売からちょうど2年後、コナミは同じくアーケード版の移植作『スーパー魂斗羅』をリリースします。
ところが偶然の一致と言うべきか、今度は『ドラゴンクエストIV 導かれし者たち』と発売時期が重なってしまいます。

 本作は『魂斗羅』のファミコン版に準拠したクオリティですが、プレイ中における画面レイアウトの変更(縦画面→横画面)をはじめ、
前作よりも移植に際してアレンジ度がアップ。それでも「魂斗羅」の魅力であるハードなアクションシューティング部分は巧みに再現されており、
シリーズファン、新規ファンを含めてユーザーから根強い支持を獲得しました。

 ちなみに欧州では『スーパー魂斗羅』ではなく、『Probotector II: Return of the Evil Forces』へと名称が変更。
プレイヤーを含む人間キャラクターは登場せず、代わりに戦闘用の人型ロボットが戦地を奔走しています。

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