国内の大手製薬会社に勤めている、Aさん(37歳)と妻のBさん(34歳)。3年前、Aさんが地方支店から東京本社へ栄転したのを機に結婚しました。Bさんは、結婚後も都内の営業所でMR※1として働いています。年収は、Aさんが800万円ほどで、Bさんが700万円程度。世帯年収は1,500万円で、俗にいう「パワーカップル」に当てはまります。

A夫妻は、お互いに上昇志向が高く、どちらかというと見栄っ張り。自分たちが「パワーカップル」であることも自認しており、「いつかタワーマンションに住みたい」という夢も合致していました。そのため2人は迷わず、湾岸エリアにそびえ建つ1億円(2LDK)のタワーマンションを新居に選びました。

しかし、物件価格が高く、夫の年収だけでは住宅ローンの審査に通りにくいため、30年の「ペアローン([図表1]参照)」を組むことに。頭金1,400万円を夫婦で折半し、8,600万円の融資を受けることができました。2人はそれぞれ、半額の4,300万円ずつを年利1.2%、毎月14万2,291円(世帯で28万4,582円)返済していくことになりました。

「ペアローン」のメリットは、1人で借りるよりも多くの融資を受けられることです。また、条件が合えばお互いの収入に対して「住宅ローン控除」が適用され、団体生命保険※2にも加入することができます。ただしデメリットとして、諸費用などは2人分必要となります。

タワマン購入当時、Aさんは本社に転勤したばかりで、収入が減少することも考えられました。しかし、本社勤務=“エリートの登竜門”と噂され、Aさん自身はこれからさらに収入が上がっていく見込みです。また、Bさんも営業職であることから高収入が維持できると考え、夫婦ともになんら不安はありませんでした。

しかし……。

3年が経ち、Bさんの妊娠がわかったタイミングで、A夫妻は改めて今後のライフプランを立ててみました。すると、ローン返済が滞る可能性があることが判明。心配になった2人は、筆者のFP事務所を訪れたのでした。

https://news.yahoo.co.jp/articles/1350a2c772631667d89c3cbf92fe572475cd4089