波に砕けた福島での世界大会の夢 国の風評対策、理解得られず
スクープ
2023/6/27 09:00(最終更新 6/27 09:26)

 東京電力福島第1原発事故で被災した福島県南相馬市で今秋、地元有志主催のサーフィン大会が開催されることが決まった。住民や市は「復興をアピールしたい」と意気込む。だが、国が夏ごろまでの海洋放出を目指す原発事故の処理水が原因で、当初目指した世界大会は開けず日程も半分に縮小することになったという。一体、何があったのか。【金森崇之、杉尾直哉】

影を落としたあの問題

 情報提供窓口「つながる毎日新聞」に寄せられた情報を基に取材を進めた。浮かび上がったのは、奮闘する地元の思いと裏腹に、国が進める原発事故の風評被害対策が世界で十分に受け入れられていない現状だった。

 復興支援イベントを兼ねたサーフィン大会「Kitaizumi Surf Festival2023」(9月16~18日)が開催される北泉海岸は、サーファーや海水浴客が年間約10万人訪れる観光名所だったが、2011年の原発事故で南相馬市の一部は避難指示の対象地域となった。

 16年に避難指示が解除された後は、国内のサーフィン大会が開かれ、徐々に観光客も戻ってきた。19年には海水浴場も再開した。

 22年夏、復興や風評被害の払拭(ふっしょく)を更に進めようと、南相馬市内の商工会議所や観光協会、市体育協会などが「サーフパラダイス実行委員会」を結成した。サーフィンの国際大会開催を目指し、トッププロ選手が参加する世界最高峰の国際競技団体に大会の公認を申請した。

 公認が得られれば、国内外からプロ約300人が集まる大規模な大会となり、原発事故から立ち上がった姿を世界に訴えるイベントになるはずだった。

※略※

https://mainichi.jp/articles/20230626/k00/00m/040/215000c