昨年7月8日、参院選の遊説中に銃撃され亡くなった安倍晋三元首相の一周忌法要が8日、東京都港区の増上寺で営まれた。

 親族や政界関係者が参列し、一般の人の献花も絶え間なく続いた。法要後、有志による追悼集会に出席した妻昭恵さんは、涙ながらに夫との思い出を振り返り

「主人は命をかけて国のために働いた。魂になってもこの国のため、皆さんとともに働き続けると思う」と語った。

    ◇   ◇   ◇

 昭恵さんは法要を終えた後、東京・港区の明治記念館で開かれた、有志による追悼集会に出席した。笑顔の安倍氏の写真を背に、話す前からハンカチで涙をぬぐい「去年のことを思い出して朝から涙が止まらず、申し訳ありません」と、涙声で語り始めた。

 昨年7月8日、いっしょに朝食をとった後、「行ってきます」と奈良市に参院選の遊説に出かけた安倍氏が「まさか亡くなるとは思っていなかった」と振り返った。
「病院で手を握ると気のせいかもしれないが、手を握り返してくれたような気がした。主人の顔は、安らかで笑顔でした」「私は素晴らしい人と結婚していたんだと、本当に誇りに思います」と口にした。

 第1次政権を退いた後、2012年の自民党総裁選に出馬を決めた時の安倍氏が「(もし負けても)命を奪われるわけではない。何度でも挑戦し日本のために働きたい」と語っていたと述べ、
「主人は命をかけてこの国のために働いた。魂もまた、この国のために皆さんと一緒に働き続けると思う」と、訴えた。

 「最後にお願いしたのは、LGBTの友人に会って話を聞いてほしいということだった」という。安倍氏は食事をともにし、その際に、課題の解決法などの持論を口にしていたとも話した。

 昭恵さんは「いろいろな感情はありますが、主人が戻ってくるわけではない。何とか主人の死に意味を持たせたいといろいろ考えている」と、銃撃事件を受けた複雑な思いも吐露。
「怒りや恨みの感情を持つのではなく、この国のために力を合わせてもらうことが主人への供養になる」とも話した。

 昭恵さんの前にあいさつした岸田文雄首相は、安倍氏に「総理大臣になったらあなたが信じる道をまっすぐ進めばいい」とアドバイスされたと明かし「悩む時はこの言葉を思い出す。私の背中をそっと押してくれている」と語った。「安倍総理の遺志を継ぎ、憲法改正や安定的な皇位継承の方策など将来につながる種をまき続け、拉致問題などの解決に全力を挙げ、力強く次の時代を切り開きたい」とも訴えた。

日刊スポーツ

https://news.yahoo.co.jp/articles/0cbc3f0cb310730a6fcb305fb799f276cb389a89