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インバウンドを期待し、観光立国たろうとするなら、日本の公共交通機関などの案内表示は、とてもお粗末で不親切だという気がした。もちろん、昔に比べたら英語、中国語、韓国語などの案内標識は各所で増えている。だが、まだまだ全然足りないし、内容が駅によって統一されていなかったりなど、わかりにくい。


東京・品川駅のホームに書かれていた案内図。色分けされ、一見わかりやすいようだが、よくみると英語表記はとても小さく、いろいろな文字が縦横入り混じり複雑だ(2022年12月 筆者撮影)
あまりにわかりにくくて驚いたのが、京浜急行品川駅のホームで、地面に描かれていた乗車口や列車の案内表示。

何色もの色できれいに塗り分けられていて、xx行きはここへ並んで、◯○に止まる列車は何両編成の列車の何号車で、と小さな文字でこと細かく書かれている。その脇に、付け足し程度の英語も添えられている。だが、その色分けの意味やら、何かを示しているらしい数字(おそらく電車の車両数)やら、英語やらが複雑に、縦横入り混じって書かれた案内は、じっくり時間をかけて解読しなければわからない。

急いでやってくる電車に乗る時に、パッと判断するためにはあまりにも複雑怪奇な説明だった。日本生まれ育ちの日本人で、読み書き理解に不自由のない私でもそうなのだから、外国人にとっては至難の業だろうと思った。

自分たちが作った案内表示などが、本当に見やすくてわかりやすいかどうかを、鉄道各社の皆さんは確認しているのだろうか? 日本人特有の丁寧さで時間をかけて細かく作ったことは一見してわかるが、それがイコール利用者に役に立つとは限らない。「日本は生産性が低い」とか「島国特有の自己満足」などという言葉を最近のメディアで時々目にするが、この駅の表示を見てそれらの言葉が頭に浮かんできた。そう考えると、欧米の観光客が満足するかどうかよりも、日本の未来が心配になってくる。あまり役に立たない作業に時間を割き、諸外国との競争に乗り遅れているとしたら、そちらのほうが深刻だからだ。