人気双子YouTuberによる初監督作“リアル”ホラー A24北米配給『Talk to Me』12月公開決定(リアルサウンド) - Yahoo!ニュース
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若者はバカなことをするものだ。しかし、インターネットが手のひらのなかにあり、ずっとオンライン空間にいる若者にとって、人間関係とはどのようなものだろうか? そのような世界において、リアルなつながりなどあるのだろうか?

双子の映画監督であるダニーとマイケル・フィリッポウによってつくられた『Talk to Me』(原題、日本未公開)は、そういった問題を提起するホラー映画だ。この映画はインターネットを主題にしているわけではないが、背景には常にその存在が感じられ、登場人物たちの人生に影響を及ぼしていく。この映画の主人公は死んだ人の霊と交信しようとするのだが、ある意味ではインターネットも霊のようなものなのかもしれない。

ちょっと結論を急ぎすぎた。順を追って説明しよう。


【ソーシャルメディアの恐怖】

『Talk to Me』の主人公はティーンエイジャーのミアだ。ミアは母親を失い、その後ライリーとジェイドの兄妹と親しくなる。ある日のハウスパーティーにて、3人のうちの誰かが、謎めいた文字が刻まれた不思議な手の彫刻をもってくる。


ろうそくに火を灯し、手を握って「トーク トゥ ミー」(わたしに話して)と唱えると、無作為に選ばれた死者の霊と“対面”することができるという。また別のまじないを唱えれば、少しのあいだ霊を体に降ろすこともできる。

これだけ聞くと、10代の若者が黒魔術に手を出してしまうよくある映画の筋書きに思えるかもしれない。しかし儀式がおこなわれるのは、大学の友達が隠れてハイになっている地下室のような場所だ。ひとりまたひとりと霊に取り憑かれていく傍ら、ほかのみんながそれをスマートフォンで撮影し、ふらふらとした様子を見て笑っている。そして、周りが制止する声も聞かずに、その動画をネットにアップしてしまう。

この映画のホラー要素は名もない地獄の魔物によってもたらされるわけではない。それよりも怖いのは、互いをいじめ合う若者のの非情さ、そして親しい友達とのつながりを失うことへの恐れだ。この映画の大半では、死者に体を取り憑かせることが無害な遊びのように描かれている。死者の世界に連れて行かれてしまうので、あまり長いこと取り憑かれてはいけない。しかし若者たちは「死ななければ大丈夫」といった態度をとる。

霊がどんどん身近な存在になっていくにつれて、物語はよくない方向に進んでいく。そしてこの映画のテーマであるところの、つながり、悲しみ、ストレスとのコーピングが描かれていく。そのなかで最も興味深かったのは、登場人物たちがソーシャルメディアからのプレッシャーに煽られて行動する様子だ。