今春入学者が定員割れした四年制の私立大は53.3%に当たる320校で、1999年度の調査開始以来、初めて5割を超えたことが30日、日本私立学校振興・共済事業団の2023年度調査で分かった。18歳人口の減少などの影響を受け、前年度(47.3%)より6.0ポイント(37校)増えた。私立短大も定員割れが92.0%と前年度6.3ポイント増で、過去最高となった。

定員割れした私大の割合増加は3年連続。事業団は都市部の大規模校に入学者が集まったことなどから、小規模校や地方で定員割れが広がった可能性があるとみている。

募集停止中などを除く全国600校の5月1日時点のデータを集計した。18歳人口は前年から約2万4千人減る一方、全体の定員は約4700人増え、総入学者数は約1600人減った。私大の定員全体に占める入学者の割合を示す定員充足率は1.3ポイント減の99.6%で、100%を下回ったのは21年度以来、2度目となった。

規模別では「定員3千人以上」の充足率が103.7%で前年度比0.5ポイント減。「100人以上200人未満」で同2.1ポイント減で87.5%、「400人以上500人未満」で同4.9ポイント減の88.7%となった。規模が小さいほど減少幅が大きい傾向だった。

地域別では東京や大阪とその周辺、愛知を合わせた三大都市圏の充足率は101.4%で同0.7ポイント減。その他の地域は同3.2ポイント減の93.5%だった。

短大276校の集計では、全体の充足率は72.0%(5.6ポイント減)。志願倍率も初めて1倍を下回る0.94倍だった。

23年に入り恵泉女学園大学(東京都多摩市)や神戸海星女子学院大学(神戸市)、上智大学短期大学部(神奈川県秦野市)など、私立大や短大が相次いで学生募集停止を発表した。

今後も18歳人口の減少は加速する見込みだ。文部科学省は大学入学者数が2040年に51万人、50年に49万人になるとの推計を示しており、総入学定員が現状のままなら2割分が過剰な状況になる。収入の7割を授業料などに依存する私大にとって、定員割れは経営悪化に直結する。

政府の教育未来創造会議は22年、私学助成の配分方法を見直して大学に定員削減のインセンティブを与えるよう求めた。文科省は今後、定員の規模適正化について議論を進める方針だ。

日本経済新聞 2023年8月30日 17:31
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