(前略)
さらに話は飛ぶのですが、「人間型ロボット」というのも、じつは日本の独壇場です。
西洋が研究するロボットは、四足歩行だったり、上半身はなくて
二本足の部分しかなかったりして、人間の姿とはほど遠いものです。

日本は、『鉄腕アトム』の時代から、ロボットと言えば、人間の形をしています。
それが、ホンダの『ASIMO』へとつながっています。
番組では、日本のロボット研究も取り上げたのですが、
イタリア人の男性がじつに複雑な顔で言いました。

「私たちはカソリックです。神の教えを守っています。
人間を創るのは神だけです。人間は人間を創ってはいけないのです。
それは、神の仕事を傲慢にも奪おうとすることです。
人間には決して許されないことです。
ですから、欧米では人間型のロボットを作らないのです。
というか、宗教的に作れないのです。
人間の形と離れていれば、その研究は肯定されますが、
人間に似せようとした瞬間に、激しく否定されるのです」

その言葉を聞いて、僕は
「どうして、人間型ロボットといえば、日本の研究が主に話題になるのか」
「どうしてロボットアニメは日本発が多いのか」
「どうして欧米のロボットは動物の姿に近いのか」
「リアルに人間に似せようとする研究がどうして欧米にないのか」
という疑問が氷解しました。

こんな分野にも、というか、こんな分野だからかもしれませんが、
一神教としてのキリスト教が影響しているんだと知って、僕は驚いたのです。
そして、宗教的身軽さというのも、日本人が世界に対して
なにかをする可能性を広げるひとつになるかもしれないと思いました。

https://news.yahoo.co.jp/articles/4ae6694d9821d0ec6ea28dddbeed3c377718bf4d?page=2