可児市は、人口約10万人のうち、8000人余りが外国籍の市民で、日系人をはじめとする外国籍の子供たちも増えてきている。

可児市の小中学校に在籍する外国籍の子供は、全体の10%を超えたという。

吉實さんは可児市だけでなく、隣接する御嵩町の県立東濃高校でも生徒をサポートしている。

明治時代に創立され、120年以上の歴史を誇るこの伝統校でも、フィリピン人やブラジル人の生徒が増加している。

東濃高校の校長:
「今、半分を超えました。うちは『外国につながる生徒』と呼んでおりますが、外国籍または日本国籍を持っているけれども外国にルーツがある子が52%でした」

2022年度は過半数が外国にルーツがある生徒になった。日本語の指導が必要な生徒も増えている。

校長:
「当初想定していた(1学年)15人ぐらいを上回って、日本語の指導が必要な生徒が入ってきているということです」

吉實さんは月に2回ほどこの高校を訪れ、国際クラスの日本語の授業で物語などを読む「多読(たどく)」のサポートをしている。

吉實さん(男子生徒に):
「お父さんは木をあまり売ることができませんでした。買うは『comprar』、売るは『vender』」

日本語がほとんど話せない男子生徒に「売る」という言葉の意味を教えるなどしていた。

男子生徒(日本語訳):
「(吉實さんが)助けてくれました。本の内容も少し難しかったので、1人ではあまり理解できなかったと思います」

日本を出稼ぎの場ではなく、ふるさとにするためには、生活習慣や語学を身につけるのはもちろん、日本社会で生き抜くための力も身に付けなくてはいけない。吉實さんが子供たちに伝えているのが、挑戦する大切さだ。

吉實さん:
「スタートする時は何もわからないの、それは大丈夫。後から見て、あの先輩すごいね、あんなことをもできる、こんなこともできる。でも最初は何もわからなかったんだよ。音楽が好き、エンジニアが好き、でも違う仕事が来たらそれもやってもいいんですよ。ぜひいろいろなことにトライしてください。今、皆さんまだ学生なので間違えてもいい。いっぱい間違えてね」

日本とブラジル、2つの国で自ら道を切り開いてきたからこそのアドバイスだ。

生徒:
「失敗とかは大丈夫だけど、『大事なのは挑戦をすること』というところが印象的でした。私、コンピューター関係の仕事をしたい、専門学校に行くこと(が目標)」

別の生徒:
「デザインの仕事をしたいです。なぜかというと絵を描くことが好きだから。少しでも毎日、絵を描くようにしたいです」

また別の生徒:
「吉實さんがコミュニケーションをとることが大切だと。『間違えてもいいから、挑戦すること』もすごくわかりました」

吉實さん:
「将来的にここで過ごすか、違う道を進んでいくかは重要なので、もしここに残って工場で働いたら、お父さん・お母さんと同じルートになるので、日系人であったら30年続いているので、この輪から別なルートもあるというのを紹介してあげたいですね」

「単純な労働力」から「社会の一員」へ。そのためには、本人や吉實さんらサポーターたちの努力はもちろん、受け入れる私たちにも、課題が突き付けられているかもしれない。

https://news.yahoo.co.jp/articles/24fea96b6608bb5e738dfd15733e2fda7ea0f83f?page=3