通常の物質と対になる「反物質」も重力によって落下することを実験で初めて直接観測したとする成果を、欧州合同原子核研究機関( CERN 、スイス)を実験拠点とした日本人を含む国際共同研究グループが発表した。
成果が28日、科学誌ネイチャーに掲載される。

反物質は、電気的な性質が物質と逆になる。
重力に対して反発する「反重力」が働くのではとの推論も一部であったが、反物質を生成して制御することは難しく、微弱な重力の影響を直接観測して確かめたことはなかった。

 グループは、水素原子の反物質「反水素原子」をつくり、約100個を縦型で筒状の装置に磁場の力で閉じ込めた。
磁場を変化させた時に、反水素が地球の重力の影響だけで上下にどちらに動くかを検出した。

 その結果、反水素は重力によって下に落ちたことが確認できたという。
グループで中心的な役割を果たしたカナダ・ブリティッシュコロンビア大の百瀬孝昌教授は「反重力というものは存在しないことが証明された」と説明する。

https://www.yomiuri.co.jp/science/20230927-OYT1T50337/