最大リスクは「もしトラ(もしかしたらトランプ)」? 2024年は専制独裁始まりの年か

 仮にトランプが再登場するなら、パリ協定の再離脱どころではないショックが世界を襲う。1期目は素人政治家のトランプを利用しようと有象無象の連中が面従腹背で入り込んだが、今度は違う。すでにトランプは「憲法の一部を停止し、権力を大統領に集中。議会の造反を許さない」と表明している。

 専制国の中露ではなく、民主国家の米国での話だから恐ろしい。1期4年しか大統領をできないトランプは、副大統領選びも含め「絶対服従」の者だけを集める。その人たちの中から〝次の大統領候補〟としての後継者が選ばれるはずだ。

 〝トランピズム〟(トランプ的考え方、すなわち利己的なアメリカ第一主義)は今、米国を真っ二つにする勢いで定着している。仮にトランプが退場しても、自由な民主主義を守る〝世界の警察〟と称せられた米国の存在は過去の物だ。

 今後トランプが手を付ける事柄を簡単にまとめてみたい。まずはFRB(米連邦準備理事会)と米国輸出入銀行の停止または廃止。大統領が自由に金利を決め、他国と協調した輸出入は一気に停滞する。1㌣の得にもならないウクライナ支援は即打ち切り。NATO(北大西洋条約機構)や日韓などとの安保条約に対しても「破棄」をチラかせながら、さらなる負担増大を迫る。

 伝統的に市場主導で、他国から優秀な人材を積極的に受け入れ、競争から技術革新を生み出して成長してきた米国。トランプが大統領になってもならなくてもどんどん内向きへと落ち込み、同盟国は「付き従うか? 自立するか?」の究極選択を迫られる。

https://news.yahoo.co.jp/articles/a86c755ba1e5db5d72d7693c6aa5fe4804ea6802