新宿・歌舞伎町の通称「トー横」に集まる青少年「トー横キッズ」が話題になる傍ら、同界隈を根城にする中年もいる。なかにはキッズを犯罪に誘う輩も……彼らの正体とは?関係者を含め密着取材した。
キッズの「仲裁料」をトー横中年が徴収

「キッズも闇バイトなど後ろめたいことがあるから、暴露される恐怖心で払ってしまうんです」(キッズの一人)

 トー横キッズの間で起きたけんかを中年が仲裁し、「仲裁料」を徴収するシステムがある。  記者も、16歳の少女が「リアコに捨てられて自殺したい」と泣きながら中年のもとにやってくる現場を目撃。リアコとは女性がお気に入りの男性に金銭を払い、男性は女性を心身ともに保護するというトー横独自の文化をいう。  すると中年は「簡単に死ぬって言ってんじゃねぇよ!怖いからどうせパキって(※薬物依存になって)飛び降りるくらいしかできねんだろ? そんな覚悟でこんなとこ来てんじゃねぇよ」と一喝。  毅然とキッズをたしなめる姿に、ある程度は年の功で若者の役に立っているかと思わされた。しかし後日、この中年はキッズ間のトラブルに介入し、10万円近くをちゃっかりせしめていたことがキッズの証言から判明した。
若者のトラブルは、トー横中年にとっての“養分”
 こうした行為は、14歳少女と淫行して逮捕された山下裕史(当時38歳)も行っていたという。山下と関係のあったキッズは話す。 「仲裁した後に、加害者から2万〜十数万円を取って半分ほど中抜きして、残りを被害者に渡す。50万円とか途方もない金額のこともあった。逆に山下を利用する女のコもいて、彼女とトー横男と彼氏との三角関係トラブルに介入して8万円を請求したこともあった。未遂に終わったようだけど」  若者のトラブルは、トー横中年にとっての“養分”なのだ。

かつてトー横で親しまれていた犯罪者たち
 18歳男性に暴行を加え、母親から身代金を奪ったとして逮捕された徳永晋太郎(当時38歳)、山下両容疑者は「徳さん」「ヒロさん」などと呼ばれ、親しまれていた一面もあった。  SPA!は、両容疑者と関わりのあったJ君(18歳)に話を聞くことができた。 「徳さんがキッズにさせていたことは、万引、薬物売買、売春、特殊詐欺の受け子、美人局など殺人以外の犯罪すべて。売春させて男の財布からカネを奪わせていたこともありました。ヒロさんは広場では頼れる兄貴的存在でしたが、裏で手を出していた。新規の女のコよりも、親との関係が悪く、人に相談できなさそうなタイプを狙っていました」
獄中からキッズへ宛てた手紙

徳永容疑者がキッズの一人に宛てた手紙。「お前ならリーダーになれる」など、心をくすぐるような文言が盛り込まれている

 またSPA!は徳永が近しかったキッズたちに獄中から宛てた手紙を入手。J君は手紙を見た際、徳永の人心掌握の巧みさを改めて感じたという。 「手駒だったとしても、それぞれの性格をちゃんと把握している文面で、グッときたキッズはいたと思います」  キッズたちはなぜ、彼らに従ったのだろうか。

シャブ漬けにされたキッズは判断力を失い、犯罪へ

「徳さんはクスリをくれるし、トラブルがあったら助けてくれた。宿がないコを部屋に泊めたり、ご飯を与えたり。そんな小さな恩で彼のために動くキッズはたくさんいました。それに2人とも異様に口がうまく、広場での人間関係に気をつけているコですら、いつの間にか心酔させられていました。  そして大抵、最初は一緒に草を吸い、だんだんとコカイン、シャブへと移行し判断力を失わせ、『もっと欲しければ指示に従え』という手口。シャブ漬けにされて、徳さんの部屋で暮らしていた女のコもいました。仕入れ先は、仲の良いヤクザや黒人。逮捕されるまで、こうしてキッズから巻き上げようとしていた」
「これから来るキッズは簡単に騙されるでしょう」
 J君は、「今後また徳さん、ヒロさん的な人は出てくると思う」と言い、こう警告する。 「これから来るキッズは簡単に騙されるでしょう。でも、怪しいことを持ちかけられても、嫌なら断ること。歌舞伎町にはそういうヤツがいると思って来いと言いたいです」
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