「村上隆 もののけ 京都」(京都市京セラ美術館)レポート。江戸時代の傑作を現代に受け継ぎ、お金と文化の問題に先駆的な方法で挑んだ展覧会
https://www.tokyoartbeat.com/articles/-/takashi-murakami-mononoke-kyoto-report-202402

日本の公立館では最後か? 約170点が集う大規模個展
2月3日、村上隆(1962~)の大規模個展「村上隆 もののけ 京都」が京都市京セラ美術館 新館 東山キューブで開幕する。会期は9月1日まで。企画は高橋信也(同館事業企画推進室)。

「スーパーフラット」を提唱し、世界の現代アート・シーンに巨大なインパクトを与えてきた村上の国内で約8年ぶりとなる大規模個展。日本の文化芸術において特別な地=京都での開催であることに加え、
これが国内の美術館で最後の個展になるのではといった声や、ふるさと納税制度を使った制作資金調達、直前でのYouTubeチャンネル開設、村上自身によるSNSでの「準備が間に合っていない」感満載のポストなどなど、
いったいどうなるのか……!?と開幕前から緊張と期待に胸を膨らませた人は多いだろう。

最初に書くと、本展は大きくふたつの点で画期的だ。ひとつはその「内容」。大学で日本画を専攻し、日本美術史上の様々な意匠や芸術の在り方を参照してきた村上が「京都」という地で改めて江戸時代の傑作と向き合い現代にアップデートしたということ。

そしてもうひとつは文化と金をめぐる「制度」に対するアクションだ。公立美術館の限りある予算のもとで妥協なき展覧会を開催するために、村上は今回、
ふるさと納税について徹底的に調べ、魅力的な返礼品を用意することでこの制度を制作費獲得に利用した。アート業界にいるといつでもどこでも「お金がない」「日本は文化にお金を回さない」という悲鳴が聞こえてくるが、
そうした状況を自力で打破する術を獲得し、先陣を切ってオルタナティヴな方法を示してみせた。「第一歩を作れたことを誇らしく思う」と、村上は語る。


以下ソース


(おわり)