経済危機の習氏追い込む日本の防衛力整備計画 中国に軍事増強は困難と米誌

中国や北朝鮮の軍備拡張や、ロシアによるウクライナ侵攻を背景に、日本を取り巻く安全保障環境が急速に厳しさを増すなか、政府は昨年、防衛費の大幅な増額と、自衛隊の機動性を向上させることを決定した。米経済誌「フォーブス」は、この決定が中国政府の軍事・経済両方の課題を深刻にし、習近平指導部に難題を突き付けていると報じた。

フォーブス誌は先日、「日本は中国の暮らしをより危険で高価なものにしている」との見出しで、米ニューヨークのコンサルティング会社ベステッドのチーフエコノミスト、ミルトン・エズラッティ氏の分析を掲載した。

同誌は、日本が戦後の平和憲法を今後も遵守することを強調しながらも、いくつかの根本的な再解釈を行うことを決めたと説明。その中核となるのが防衛費の大幅な増額だ。
政府の新たな「防衛力整備計画」によると、2023年度から5年間の防衛力整備の水準を現在の1.6倍にあたる43兆円程度としている。23年度予算の防衛費は過去最大の6兆8219億円。前年度の当初予算と比べて約1兆4000億円多く、およそ1.3倍と大幅増額となった。

それでも中国の軍事予算約30兆円とは比較にならず、ましてや米国の約126兆円には足元にも及ばない。だが同誌は、それでも日本の数字は実質的なもので、政府の計画通りなら、中国の覇権への野心をけん制する目的のためには十分だと指摘した。

岸田首相は、「法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序を守り、インド太平洋地域の平和と安定を達成することに貢献したい」と明言するなか、フォーブス誌は、日本の新たな「防衛力整備計画」が中国にもたらす特筆すべき4つの大きな影響を解説した。

1番目は自衛隊が同盟・友好国と協力し、より攻撃的な役割を果たすという明確な決意をしたこと。
2番目は北朝鮮国内の標的を攻撃できる長距離巡航ミサイルの配備決定。北朝鮮のミサイル配備と実験の挑発的な性質を考慮すれば、こうした対応は予想されてしかるべきだが、これらの兵器が中国を標的にする可能性を中国政府は認識せざるを得なくなったのだ。

https://news.yahoo.co.jp/articles/20ab6c43e24bc4d77f147617aa2d01f0808b46d2?page=2