「高校受験を経ることで高校間の序列が形成され、学力別に上位校、中位校、下位校と階層化されています。しかも大都市、とりわけ東京と大阪などは地方に比べて、制度設計に失敗してしまって、さらに大変な状況になっていると言えます。

東京では2003年から、大阪では2014年から学区が撤廃され、都内、府内どこの公立高校も受験できるようになりました。学区撤廃は、それまで指定されていた学区以外の高校にも通うことができるというメリットはありますが、逆に言えば学校の選択肢が多すぎる状態になってもいます」

東京と大阪は人口規模が他の都道府県に比べて桁違いに多いわけですが、学区撤廃によって上位校には東京(大阪)中から学力の高い生徒が集まり、逆に下位校には東京(大阪)中から学力の低い生徒が集まってくるという構造になってしまっています。こうして学区撤廃によって、上位校と下位校の学力格差がさらに拡大してしまったのです」

低学力の生徒が遠方の高校に通うようになることで、悪循環に陥ることも少なくないそうだ。

「通学に片道1時間以上かかるとなると、学校に行くのが億劫になってしまうこともあるでしょう。また、通学に時間がかかると、おのずと自宅などで勉強できる時間も減ってしまいます。低学力の生徒ほど勉強がしづらい環境になってしまうというわけです。東京や大阪はこういった大都市固有の問題が発生しているので、今一度制度設計を見直すべきだと考えています」

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