出口が見えないまま戦火が長引き、悲劇ばかりが積み重なっていく。ロシアによるウクライナ侵攻は24日で2年を迎える。両国とも和平の時機を逸してはならない。
 ウクライナによる反転攻勢は挫折し、戦況はほぼ膠着(こうちゃく)している。西側にはウクライナへの支援疲れが目立つ。消耗戦になれば国力の大きいロシアの方が有利だ。
 ゼレンスキー・ウクライナ大統領にとって気掛かりは11月の米大統領選の行方。支援打ち切りを明言するトランプ前大統領が復帰を果たせばウクライナは力尽きる。
 徹底抗戦を呼び掛けているゼレンスキー氏だが、ロシアに占領された領土を諦めてでも停戦を受け入れざるを得ない状況に追い込まれつつある。
◆世界に暴力が蔓延する
 ウクライナは全体の約2割の領土を占領された。ロシアの侵略による領土拡張を容認するような停戦合意は、力の支配に屈したことになってしまう。
 このためロシアには大きな代償を払わせなければならない。停戦にこぎつけたとしても、西側は経済制裁を続けるべきである。
 それでなくとも血なまぐさい世界になった。イスラエルのガザ侵攻は自衛の範囲をはるかに逸脱し、無差別に民間人を殺傷する非人間性が際立つ。米国と武装組織フーシ派は武力報復を繰り返す。
 ロシアの残虐な侵略行為から感染したかのように蔓延(まんえん)する暴力。弱肉強食の世界に逆戻りしないよう、この風潮に歯止めをかけなくてはならない。法の支配の回復は急務だ

https://www.tokyo-np.co.jp/article/311142