◯ 子育て支援では人口回復せず、自治体ごとの出生率なども意味を持たない

子育て支援だけでは、未婚化は防げず、むしろ若い世代にさらなる負担を強いる医療保険を改悪して行う子育て支援政策は言語道断です。経済的理由で結婚しない若者たちが多いにもかかわらが、彼らの所得を減らしてなぜに結婚するのでしょうか。既婚者と未婚者の所得の差は歴然と存在し、既に子供の数を言えば所得が多ければ子どもの数も多くなる「金持ち子沢山」の現状です。

そのたろ、個別自治体が出産可能女性を今更予算を使ってとりあったところで意味はありません。ある自治体から所得がある男女が移動(=若い女性が減って)、別の自治体で所得のある男女が結婚出産するという流れを多く生み出した地域が数字上は少子化対策に成功したように見えますが、それは単に自治体で奪い合っているだけで、日本全体でプラスサムになっているわけではないのです。そんな 単に右から左に人が移動するだけという状態で一喜一憂するような、自治体ごとの数字のお化粧に税金を使うのはナンセンスです。日本全体での解決を政府が向き合わなければなりません。そしてそれは自治体の奪い合いに成功した戦略をそのまま日本全国でやればいいという単純な話ではないのです。

どちらにしても、既に団塊ジュニア世代すら50代を超えてしまい、日本が人口回復を根本的に既存の日本人だけで行うことは不可能です。今からベビーブームが発生したとしても、これから団塊の世代の自然死が大量に発生するため、人口回復に至るのには多くの時間を要します。が、そんな希望的観測は意味を持ちません。

団塊ジュニア世代が結婚適齢期とされた2000年前後にポイント・オブ・ノーリターンを超えてしまったと考えるべきで、2014年の増田レポートすら手遅れのときに騒いでいたのです。日本は2000年頃まではに第三次ベビーブームが訪れると政府も企業各社も捉えていて、当時の少子化要因は「晩婚化」と言われていました。しかしそれは間違っていて未婚化だったのです。

◯ 実態としては少子化対策ではなく、移民政策にシフトしている

むしろ今後の人口動態に合わせて自治体を再編していくことが現実解であることは、この10年の地方創生政策の結果をみても明らかです。そして今回の推計データをみても10年前から減少した地域の多くは外国人労働者の流入によって数字上改善されたように見えていて、日本としては実態として永住権をかなり多くの外国人に今認めるようになっていることが反映されています。

つまりは少子化対策ではなく、外国人労働者永住権によって人口問題を対応しています。国籍付与は日本は厳格ですが、既にインバウンドのみならず、就労ビザ、永住権についてはアメリカ、ヨーロッパよりも柔軟だという日本で働く外国人の方は多くいます。地方人口減少を煽ることではなく、政府は実態として移民政策をスタートさせている前提にたち、今の実状にあった日本の未来についての提言こそ必要です。つまりは国籍は認めないが永住権は認めるという形式での外国人労働力確保をしているわけですが、そこで生まれた子どもたちを含めて我々の社会を今後どうするのか、なし崩しではない政策が必要になっています。


◯ 人口動態をもとにした地方行政改革が本質

つまりはもう今後は人口推計をもとにした人口減少をもとに自治体をどのように再編するのか、「令和の大合併」を計画するべきであること。さらに言えば、マイナンバーを利用して地方行政の効率化、どこにいてもサービスが受けられる仕組みをネットを基礎にして形成していくという窓口と人力からの脱却を急速に進めるべきということです。

今回のレポートでも本質は消えるのは自治体であって、地方そのものではないのですから、消えるのがわかっている周辺自治体でどのように行政単位を組み換え、残る人々をサポートするか、という現実的な政策と向き合うしかないのです。正しい撤退戦が必要なのに、各自治体を競わせて消耗させるなんてのは、とんでもない方向です。負け戦が決まっているのに、全体の戦略に見直しなしに、各部隊に戦果を求めるようなものです。狂っています。

https://note.com/shoutengai/n/ne51c5bfc3717