サービス価格インフレの恒常化をほぼ確実視する人々は、日本の人口動態と労働力不足を根拠に挙げる。理屈のうえでは、企業が互いに従業員獲得をめぐって競争しているうちに、労働側の交渉力は大きくなるはずだ。「CLSA証券」のストラテジスト、ニコラス・スミスはこう分析している。

「大幅な賃上げ報道がここ数週間続いているのは、日本の経営者がそれだけ強烈に恐れているからです。新卒採用をめぐってますます激化する競合他社との綱引きに負ける恐れ、そして事業遂行に不可欠な従業員が流出するかもしれないという恐れです」

すでにこれが起きつつあることを示す数字もある。信用調査会社の「東京商工リサーチ」は1月、2023年中に負債1000万円以上を抱えて倒産した企業件数が前年比で35.2%増加したと発表した。その大半は、賃金上昇圧力に耐えられなかったのが原因だった。倒産件数は調査対象となった全産業で増加したものの、増加率が最も高かったのは建設業とサービス業だった。いずれも人件費上昇の打撃を最も強く受けている。

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