「行程見直しや調達先変更…」円安が中小企業を直撃、工夫も限界に
5/4(土) 18:29配信
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産経新聞
外国為替市場の相場を表示する電光掲示板=4日午後、大阪市中央区(山田耕一撮影)
政府・日本銀行による「為替介入」の観測が広がり、外国為替市場の対ドルの円相場が乱高下している。しかし、円安・ドル高の基調に変わりはない。海外での稼ぎが多い企業や、インバウンド(訪日客)の誘客にとって円安は追い風となる一方で、原材料やエネルギーで輸入依存度の高い中小企業の経営を直撃する。中小企業は製造工程の見直しや調達先の変更などの工夫で乗り切る構えだが対策にも限界がある。コスト増分の価格転嫁も進んでいない。
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「原材料の大幅な値上げが年間に幾度もあり、製造業は苦しめられている」。素材メーカーの山本化学工業(大阪市)の山本富造社長は円安進行による窮状を語った。
外国為替市場では、日米の金融政策の違いを主因とする円安ドル高が続いている。円安になれば商社や自動車などの大企業は海外事業の円建て収益の増加などで恩恵を受ける。一方、原材料などの輸入物価が上昇するため、小売りなど内需中心の中小企業はコスト負担が増加することになる。
円安の影響に関して、日本商工会議所の小林健会頭も4月17日の記者会見で「大企業と中小企業で正反対。大企業は海外資産があって、(海外収益を見込める)輸出もできる。中小企業は輸出比率が小さいし原材料高をもろにかぶる」と発言。中小企業は円安による負の影響が大きいとの見方を示した。
中小企業が円安を克服するにはコスト上昇分の価格転嫁がカギを握るが、東京商工リサーチが近畿2府4県で2月に行った調査では、企業規模を問わず「価格転嫁が全くできていない」としたのは276社中92社(33・3%)。コスト上昇分の半額以下の転嫁率にとどまったのは192社(69・5%)に上った。
では、中小企業が取れる対策はないのか。パナソニックホールディングス副社長で関西経済同友会代表幹事の宮部義幸氏は4月30日の会見で「取引先が海外なら、そこに対して競争力のあるビジネスはできないか。材料費や人件費の上昇分を転嫁し、高付加価値のものを提供することに尽きる」と話した。
大企業の中には供給網を見直し、国内回帰を進めるなど円安対策を講じるケースもある。大阪府内の食品製造メーカーの中小も「輸入原料の調達先の変更や国産品の割合を高めることも検討する」とするが、国産品も高価格で現実味が薄い。また、卸業の担当者は価格競争があるため値上げは困難だとし、「対策を取ろうにも、為替はコントロールできない」とあきらめ顔だった。
https://news.yahoo.co.jp/articles/84dd43151b5a7a727990887e990cc13b618cde4f
