「都民ファーストの会」事務総長を務めた元側近・小島敏郎氏に、公職選挙法違反(虚偽事項公表罪)容疑で刑事告発された小池百合子東京都知事(71)。小池氏の学歴詐称疑惑を指摘しているのは小島氏だけではない。エジプト留学時代に同居していた北原百代さんが、実名で「文藝春秋」に手記を寄せた。
【画像】ピラミッドの前でツーショットに収まる若き日の小池氏と北原氏
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カイロの日々を知る「友」からの告発
北原百代氏 ©文藝春秋
百合子さん。もうずっとお会いしていませんが、あなたの姿はテレビ画面を通していつも見ています。
初めて会ったのは、エジプト・カイロ市内のペンションでした。あなたは19歳で、私は30歳。もう半世紀以上も前、1972年の春のことでした。
あなたは私が滞在していたペンションに、商社マンのAさんに連れられてやってきました。同居相手として、Aさんが私に紹介してくれたのです。半年ほど前にカイロへ来て、カイロ・アメリカン大学に通っている小池さんだと紹介されました。
私は同居を快諾し、あなたと2人でアパートを探しました。そしてザマレックのアパートで同居生活を始めた。あなたは冗談好きで明るく、料理上手な楽しい人でした。2人で映画『ジョーズ』を観に行った時、隣で怖がって声を上げていた姿を思い出します。ある日、お風呂を沸かす火が弱くて困っていると、百合子さんが「こうすればいいのよ」とガスボンベをひっくり返してくれた。「底にガスが溜まっているんだから」と言って。大胆で少しお茶目。それもあなたの魅力でした。
カイロの日々を今でも懐かしく思い出します。だからこそ、私は深く悩み続けたのです。「黙っていたほうがいいのか、それとも世間に明らかにするべきなのか」と。
でも、今のあなたの立場では、これはやはり許されないことだと思ったのです。そして事実を知りながら、黙っている私もまた、許されないはずだ、と。
あなたは日本の法律に違反することをして、今の地位を築きました。また権力者で居続けることによって、秘密を守り続けています。
私は事実を知る者としての義務を果たしたいと思ったのです。あなたに恨みがあるわけじゃない。今の地位から引きずり下ろしたくて、語るわけじゃない。このまま黙って死んだのでは、私には悔いが残る。そう思い、この手紙をしたためました。