[東京 31日 ロイター] - 日銀が追加利上げに踏み切ったが、日銀内には中立金利を意識し、来年度にかけて1%までの利上げを視野に入れる声も出始めている。植田和男総裁も、政策金利について2006年以降の前回利上げ局面でのピーク0.5%が「壁」になるとは思っていないとする。しかし、秋以降は米大統領選挙など日銀のシナリオを狂わせかねないイベントが相次ぐ。日銀財務への懸念も含めて、利上げ戦略は難路となりそうだ。
<今回の利上げ、実質金利がきわめて低い中での「少しの調整」>
植田総裁は31日、金融政策決定会合後の記者会見で、現状の実質金利が非常に低いことを強調し、0.25%への利上げでも実体経済への影響は出ないと述べた。
この日の声明文には、現在の実質金利が極めて低い水準にあるとの記述が2度登場し、利上げ決定を後押しした要因の1つだったことをうかがわせる。植田総裁は会見で、今回の利上げが実質金利が非常に低い中での「少しの調整」に過ぎず、「強いブレーキが景気等にかかるとは考えていない」と明言した。