「ヘッジファンドども思い知れ」
――その後は何をしていたのでしょうか。
「ようやく落ち着いて、録画していた経済番組を観たんです。ところが解説がひどすぎて呆れました。日銀を批判しているコメンテーターがいるんです。『日銀が招いた暴落』だって! 何をいってるんだか。私は日銀に拍手を送っています。たった0.25%の政策金利の上げで極端な円安を止めたんですからね。『あっぱれ』ですよ。
円安は介入では止められません。ドルを売らなきゃいけないから介入の金額に限度がある。それを見透かされてヘッジファンドに日本は舐められまくってきました。たった0.25%の金利誘導では日本は不況にはなりません。日銀は日本にもちゃんと政策はあるってことを世界に示したんです。『ヘッジファンドども思い知れ。勝手にはさせんぞ』とね。この断固とした態度は立派です」
――株価暴落の原因は何でしょうか。
「もちろんこれまで急激に株価が上がりすぎていたことはあります。でもAIや半導体製造装置を除いてはバブルというほどの過熱感はなかった。そもそもAI銘柄っていうのは日本にほとんどありませんからね。私が最も重視している「裁定買い残‐裁定売り残」は7億株程度。5億株超えると注意信号、10億株超えると危険信号。だからアラートは出ていませんでした」
明らかに「バブル」だったもの
この裁定取引残高については『わが投資術』の220~222ページで解説されている。清原氏は危険的な弱気相場とは見ていなかった。
「今回、明らかにバブルだったのは『円売りドル買い』のポジションの積み上がりです。強欲なヘッジファンドは、
1・金利差で儲ける
2・円安ドル高で儲ける
3・そこに円安なら日本株にもプラス
ということで、一粒で三回おいしい商売をしていたわけです。いずれもヘッジファンドが主体でやっているドル円のキャリートレードです。
といってもJPモルガンやゴールドマンサックスが500兆円とか、驚くほど巨額にやっているわけじゃありません。ドル円が120円にでもなれば破綻するヘッジファンドはいくつか出てくるかもしれないけど全く気にすることはありません。雑音ですよ。LTCMやアルケゴスの破綻でも相場には全く関係なかったでしょう?」
キャリートレードは低金利通貨で借り入れを行い、高金利通貨に投資することで2国間の金利差を利ざやとして運用成果を上げるもの。ヘッジファンドはこれまで散々、円安ドル高で儲けたからポジションの解消で損するのも仕方がないというのが、清原氏の主張。LTCMやアルケゴスは過去に破たんしたフェッジファンド。